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【惟の森のテーマ・スキル学習】

更新日:2020年10月7日

6月より通常登校となり、惟の森の柱である主要5カリキュラム(基礎学習「ことば・かず」、自由活動、分野別学習、プロジェクト、テーマ・スキル学習)の全てが戻ってきました。(^^)v


惟の森ではこれらのカリキュラムを、自発か他発か、自立か共生か、主にそのどこにフォーカスするかによって、


自発✕自立、他発✕自立、自発✕共生、他発✕共生、


という、4つのタイプに分類しています。

(詳しくはHPをご覧下さいね)


*自発=自らの興味関心と自らの選択で様々を楽しみ味わう

*他発=一緒にやりたいこと、一緒に考えたいテーマを、

    切り口&プログラム提供型で体験的に楽しみまなぶ

*自立=自分らしく十分に生きるため、

    「わたし=自分」にフォーカスする

*共生=自分とは異なる他者と共に生きるため、

    「わたし=自分、あなた=他者、みんな=社会」が

    つながっていくことにフォーカスする


惟の森の全てにおいて「くらし」「まなび」「あそび」は重なっており、主要5カリキュラムはまるで三つ編みの編みこみみたいに、所々で重なりながらつながっています。


今日は、「他発✕共生」にフォーカスした「テーマ・スキル学習」についてご紹介させていただきます。


テーマ・スキル学習の「テーマ」とは、自分らしく十分に生きるために、また、自分とは異なる他者と共に生きるために、知っておいてほしいこと、一緒に考えてほしいことで、本で言うならタイトルのこと。

例えば…自由、命、協力、正義、平和、幸せ、、、ってな感じ。


テーマ・スキル学習の「スキル」とは、チカラとワザのことで、教えられないもの。自分で磨くもの。

例えば…考える、伝える、聴く、受け止める、協力する、対立を解決する、合意を見いだす、など、自分と他者と社会に関わるためのチカラです。


テーマ・スキル学習の目的は、参加型のワークショップを通して、テーマについて学び、テーマのために学び、関わるスキルを身につけること。


1年間でだいたい35日くらいテーマ・スキル学習の日があります。

毎週のテーマとねらいは1年分決まっており、3年間は毎年同じテーマを繰り返し扱い(プログラムは少しずつ異なる)、学びや気づきやスキルを積み上げ深めていきます。


例えば「民主主義」がテーマだとしましょう。

民主主義とは何か?という知識を身につけることが目的ではなく、知識を得た上で、

 *民主的であるとは何がどうなっていることだろう

 *民主的であることの反対はどんな状態だろう

 *民主的であることは、なぜ大切なのだろう

そんな唯一の正解がないことを、正解がないからこそ、自分のアタマで考え、人のアタマも借りながら考え、一緒にわたしにとっても、あなたにとっても、みんなにとっても、「よりよいこと!」を見つけ出すことを大事にしています。

そしてこのテーマで最終的に目指したいことは、民主的に生きることが日常になること。そういう社会を作ること。

3年、6年、9年をかけて。ことによっては卒業してからも。


とはいえ、現在小学1年生~中学1年生までが通う惟の森。

低学年クラスと高学年+中学部クラスの2クラスに分かれて、テーマ・スキル学習に取り組んでいます。


毎週木曜日の3限ー5限(1限は45分)、NIED・国際理解教育センターから2名のファシリテーターがやってきて、それぞれのクラスに合ったプログラムのワークショップを提供してくれています。


<6月の低学年テーマ・スキル学習>

◆テーマは「自己理解」と「自己尊重」。

(もちろん、そんな漢字四文字は持ち出しませんよ(^^)v)


いろんなゲームやグループ・ワークを通して、自分について考え、絵にしたり、言葉にしたりしながら、多様な自分と出会います。


お互いのことを伝え合いながら、いつもとは異なる視点から「そんなところもあったんだ!」と仲間の新たな一面とも出会います。


6月の1年生は、「9人のシャーマン」というワークや絵本を通して、

 *人はそれぞれその人にしかない良さや持ち味があること

 *それぞれ同じではないから、一人ひとり違っているから、

  自分が持っているものを持ち寄りながら、助け合うことができること

 *誰も「わたし」の代わりにはなれないから、「わたし」がいることに

  意味があること

に気づいていきました。


5才の人たちが、すでに自分の特徴や良さはどこにあるのか、「9人のシャーマン」の中から自分はこれに近いかな、と選ぶことができることに驚きます。しかもそれが当たってる!


更に驚くことには、まだ入学して間もないのに、関わるスタッフ一人ひとりについても、9人のタイプの中から「誰々はこれかな~。誰々はこれだよね~。」と、仲間と話し合いながら選び、教えてくれたのでした。

それがスタッフも驚くほど的確(笑)。

私たちスタッフのことをよく見ていてくれたこと、「ここがあなたのよいところだよね」と思ってくれていたことは、とっても嬉しいことでした。


2~3年生は、自己紹介ゲームや、「自分に関する10の文章作り」に取り組み、1枚の色画用紙を折って切って8ページの豆本型にした「世界にたった1つ!『今の自分の本』」を作りました。


自分に関する10の文章の9つ目までは、嬉しくなる時、悲しくなる時、得意なこと、宝物、などなんでも自由に。

10個目は、「あなたから見たわたしってどんな人?」と、惟の森スタッフに聞きに行ってくる、という設定。

スタッフは心を込めてその人の持ち味と良さを書きました。

言葉にして伝えてもらったこどもたちは、はにかみながらもみんなとても嬉しそうでした♥


<6月の高学年テーマ・スキル学習>

◆テーマは「セルフ・エスティーム」と「アイデンティティ」。


高学年はこれまでにも扱ってきた「セルフ・エスティーム」を1歩深めるプログラムに取り組んでいました。


様々な登場人物の中で「セルフ・エスティームが高い人は誰?」について考えるワークでは、高学年の人たちがすでに、社会的評価によって上下する社会的自尊感情と、他者評価によらず柳のようにしなやかな基本的自尊感情の違いが、理屈ではなくわかっていたことに驚きました。


また、「アイデンティティ」がテーマの回には、自分の名前の由来について、お家の方にも協力していただきながら準備し、「わたしの始まり(名付け)の物語り」を伝えあいました。


保護者の協力を得て「自分を物語る」ことのできる環境にあるこどもたちであることと、自分のことを嬉しそうに語る姿に安堵しました。

と同時に、セルフ・エスティームを持ち得ない状況にある人々がいる社会であることに思いを馳せ、社会のあり方に目を向けていくことが次のステップかな、と思いました。


わたし(自分)のことからあなた(他者)への共感へ。

あなた(他者)のことからみんな(社会)のことへ。

世のため人のため自分のために、できることは何かな…。


テーマ・スキルはわたし、あなた、みんなを行ったり来たりします。


テーマ・スキル学習は、国際理解教育(人権教育/環境教育/平和教育)であり、ESD(持続可能な開発のための教育)なのですが、ここ惟の森では、それを専門とするNIEDのファシリテーターたちも試行錯誤の連続です。


どうしたら、自由で個人的なものの方に目が向きがちな人々に、自分以外の人や社会や、自分に今は関心のないテーマにも目を向けてもらうことができるのか、、、。

ワークショップ職人の腕の見せ所!?ではありますが、、、

「惟の森は修行の場だ…」と、NIEDファシリテーターは感じています💦


私たちまだまだ修行中。まだ夢の途中。精進させていただきます。

m__m


お初となるテーマ・スキル学習のご紹介で、

大変長文となり失礼いたしました。




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